初めてyasuに話しかけられた日・・・
まだ、覚えている。

寒い冬だった。
私は、学校の軽音楽部のあるバンドに、助っ人として参加していた。
日曜の午後、私は集合時間の10分ほど前、練習場の外で、
前のバンドの練習が終わるのを待っていた。
友達が、「花音、寒いから中に入りなよ」と声をかけてくれて、
練習場に入った。そこで、練習をしていたバンドに、yasuがいた。

私は、とても楽しそうに演奏する4人を、遠い目で見ていた。
その頃の私は、反抗期で、楽しい事が何もなかった。
お世辞にも上手とはいえない演奏の中に、パワーを感じ、
同時にうらやましくも思えた。

翌日の月曜日だった。
同じクラスメイトだったyasuが、急に私の前にやって来て、
「昨日の練習、見に来たやろ。お前誰見てた?」
「誰って?何でそんな事聞くの?」
「俺ら、みんな、「自分を見てた!」って思っていて、
はっきりしようって事になって、俺が直接お前に聞くことになって・・・」
「誰も見てないよ。」
「いいから、今決めてくれ。誰見てたんや?」
「だって、私、ど近眼だよ。あの距離じゃ顔も見えないよ・・・」
「困ったなぁ〜 お前が照れて、言ってくれなかったことにしておこう・・・」
と、勝手に納得して去って行きました。

同じクラスにいたのに、yasuとの初めての会話・・・
今、考えると、笑ってしまうほど、子供っぽい。
実際、子供だったんだけど・・・

それから数日後、そのバンドのメンバーで、
「あの時、俺を絶対見ていた!」と強く信じていた人が、
私を気にしてくれ、友達を通じて話をするようになり、
半月後、彼となりました。
yasuは彼の親友として、私のそばにいつも存在してくれるようになりました。
彼とyasuは、兄弟みたいで、いつも一緒にいて、
特別何かを言わなくても、通じ合っているようなところがあった。
その特別が、うらやましくて、yasuにやきもちを妬いたりもした。

いつも不安になると、yasuに助けを求めた。
彼も気持ちが分からない時、いつも勇気付けてくれたのはyasu・・・
あの頃から私にとって、yasuは特別だった。
恋愛感情ではなかったけど、ある意味、一番信頼していた。
yasuは、私を放っておけないって、いつも言っていた。
だから、そばにいると・・・
それなのにyasuは、あの春、私達仲間から離れて生きることを選んだ。

私達には、歴史がある。
ただ、時間を過ごしてきただけじゃない。
積み重ねのようなもの。
yasuが私に気持ちを伝えてくれた時、
何を信じていいのか分からなかった私に、
「俺たちには、今まで過ごしてきた積み重ねがある。」と言ってくれた。
私がyasuと積重ねてきた事を支えに生きてきたことを、
yasuは分かっていたのかもしれない。

私は、今でも、私の中にあるyasuを支えにして生きている。
yasuを失ったけれど、私はすべてを失ったわけではない。
まだ思い出に出来ない、yasuとのたくさんの積み重ねがある。
私は、もう少し、それを抱きしめていよう。
今は、まだそうすることしか出来ないから・・・


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