あの場所?

2003年4月23日
 
yasuは、それから、
少し、変わったような気がした。
Sくんの分も生きようと、必死だった気がする。
死に向き合う事で、
yasuは、どんな苦しみの中で生きていたのだろうか?

yasuは、命日やお彼岸には、必ず、お墓参りに行っていた。
Sくんがノートに残した詩にメロディをつけて、
唄にして、残したりもした。
Sくんのお母さんに、学校の時の事や、
どんな友達がいたかなど、いろいろ話したとも聞いた。
とてもいい加減なyasuだったけど、
Sくんの事は、本当に衝撃だったんだと思う。

いつか、そんなyasuを見て、
お墓参りに、連れて行って欲しいと頼んだ。
なかなか、機会がなくて、
実現したのは、yasuの気持ちを聞いた後だった。

待ち合わせに遅れてきたyasuは、紺色のスーツを着ていた。
いつも、スーツを着ていくんだと、笑って言った。
小高い丘からは、海が乱反射していた。
「あそこに見えるだろ?あの辺りが学校だ・・・
Sのお母さんが、学校が見えるこの場所にお墓を建てたんだ。」
慣れた手つきで、お墓にお水をかけたり、お線香に火をつけた。

二人で並んで、静かに目を閉じて、手を合わせた。
どのぐらい、拝んでいただろう。
yasuは、遠い目をしていた。
あの頃、一緒にはしゃいでいた頃を思い出していたのだろうか。
yasuが私に、一冊のノートを差し出した。
Sくんのお墓参りをした人が、メッセージを書いているノートだった。
開いて読むと、たくさんの後輩の名前とメッセージがあった。

yasuは、「俺は元気だ!また来るからな。」と、書いていた。

「なかなか来られなくてごめんね。
yasuに連れてきてもらいました。
ここは、とてもいい場所だね。
みんなの幸せを見守ってください。」と、私は、記して、ノートを閉じた。

もう、きっと、二度と、来る事のない場所・・・
yasuと来る事はない場所・・・
そんな事を思いながら、yasuの後姿を見つめていた。
   
 

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