霧の中

　　　
yasuの、
何が分かったつもりでいたのだろう？　　

あの頃、誰もが言った。
「yasuは、花音の言う事なら、
素直に聞くから・・・」

私は、いつも口うるさく言っていただけ・・・
yasuを、みんなに誤解されたくなかったから・・・
本当は、誰よりも優しいし、
ヤル気になれば、誰よりも力が発揮できるし、
みんなが思っているほど、
どうしようもない人では、なかったから・・・

yasuは、人にどう思われようが、
気にしない人だった。
「分かってくれる人だけが、
分かってくれればいい！」と・・・
だから、誤解される事も、多かった。

私だけが知っているyasuが、
たくさんあった。
他人には見せない、yasuの素顔を知っている事が、
私の密かな自慢だった。
だけど、素顔を知れば知るほど、
私だけのyasuで、いて欲しいと思った。

その想いが、
最終的に、yasuを苦しめていたなんてね。

一番、分かっていたつもりでいたのは、
錯覚だったのかもしれない。

今は、霧の中にいるようで、
yasuの真実さえ、見えない。