ひとめぼれ?
2003年7月29日夢のようだった。
あの永さんが、私の隣で歩いている。
「湖の方、歩いてみる?」
永さんは、そう言って、私を誘ってくれた。
「花音ちゃんは、いい先輩や後輩に恵まれているね。
今日も、雅くんが誘ってくれたけど、
花音ちゃんの事は、聞いていなかったんだ。
ただ、雅くんとは、試合でも対戦した事あったし、
すごくいい奴だから、仲良くなりたいなぁ〜って感じで、
誘われるまま、来たんだ。
だから、花音ちゃんの事、聞いたときは、ビックリしたよ。」
「私が、勝手に、憧れていたんです。
テニスに、こんなに真剣な人って、初めて見たような気がして・・・
PLAYがきれいな人だなぁ〜って・・・
迷惑だったら、ごめんなさい。」
「この前の試合の時、俺、花音ちゃんに声かけたの、
何故だか分かる?
かわいいなぁ〜って、思っていたんだ。
だから、迷惑じゃないよ。」
湖の歩道は、夏だというのに、
風が冷たいほどで、
とても気持ちが良かった。
憧れの人と歩いている、夢のようなひととき・・・
いろんな事を話した。
永さんの学校の事、クラブの事・・・
家族の事・・・彼女はいないって事・・・
私は緊張しながらも、
永さんの人柄に触れられた事が嬉しかった。
少し無言になって、湖を眺めていた。
優しく、抱きしめられた。
震える私を、永さんは笑っていた。
「大丈夫?震えるなんてかわいいね。」
「こんな事、初めてなんです。」
「もう少し、このままでいていいかな?」
時間が止まった気がした。
少し離れて、目が合った。
恥ずかしさのあまり、下を向いた。
永さんは、「もっと、近くで顔見てもいい?」と、
優しく私の顔に手をあてた。
静かに、永さんの顔が、近付いてきた。
私のファーストキスだった。
展開が速すぎて、頭がパニくっていた。
つづく
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