先生との恋 ?
2004年1月26日就職する、2日前になった。
旅立つ不安よりも、
彼への想いの行き場を探していた。
まだ、私は、何も納得できていなかった。
逢わずにいたら、
環境が変わって、忙しくなったら、
彼への気持ちも、消えるだろう・・・
そう願うしかなかった。
突然、電話が鳴った。
父が、仕事中に怪我をして、
救急車で運ばれたという、知らせだった。
母は、病院に直接向かい、
私は、学校でクラブ活動をしている妹を呼んで、
一緒に行く事になった。
妹の高校へ車を走らせた。
グランドに、サッカー部はいないようだった。
車を降りて、数人の学生に、
サッカー部を見なかったか、聞いたけれど、
15分ぐらい前に、練習が終わったとの事だった。
後ろから、「花音ちゃん・・・」と聞こえた。
振り向くと、彼がいた。
「どうしたの?こんなところで・・・・」
彼は、不思議そうに、私を見ていた。
「父が、救急車で病院に運ばれて・・・
妹を迎えに来たんですけど、
どこにいるのか分からなくて・・・
もし見かけたら、
すぐに家に戻るように伝えてもらえませんか・・・」
彼は、頷いて、
「花音ちゃん、大丈夫か?」と、私を気遣ってくれた。
車に戻って、病院へ急いだ。
彼の優しさが、心に染みた。
少しだけ、落ち着いた気分になった。
父は、手術をしたが、
命には、別状はなかった。
徹夜の母を、休ませるため、
私が一日、父のそばにいた。
就職する不安よりも、
父の入院の事、家の事が心配だった。
妹は、私と彼に何かあった事に、
気付いていた。
妹に対しての態度が、変わったというのだ。
やはり、生徒の姉とあんな事があった後では、
気まずかったんだろう。
住む場所が変われば、
想いも消える・・・
新しい場所、新しい環境、新しい出逢い・・・
私は、見えない未来に、
委ねたい気持ちだった。
彼を忘れられる、何かが欲しかった。
そして、新しい生活が始まった。
つづく
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