yasuの中の海

海を見ていた。
あの頃、yasuと見ていた海・・・

yasuの下宿のそばにも、海があった。
学校からも、海が見えた。
そして、yasuと自転車で帰る時にも、海が見えた。

yasuとのどんな場面にも、
やはり、必ず海があって・・・
季節ごとに、おだやかな海だったり、
真っ青な海だったり、夕暮れ色に染まっていたり・・・
yasuを想うと、背景は海になる。

私の勝手な思い込みだけど、
yasuは、海のような人間のような気がする。
淋しさも、悲しみも、海が癒してくれるように、
私は、yasuに救われ、守られて生きてきた。
大きく包まれすぎて、当たり前のように感じていた。
yasuの海は、私の前では荒れ狂うようなこともなく、
ただ、静かに、大きく存在してくれた。

yasuの中の海は、
広すぎたのかもしれない。
そして、私は、
その広さゆえに、真実を見ようとしなかった。

海の青さが、まぶしすぎて、目を細めた。
太陽の乱反射の中に、
yasuの笑顔が見えた気がした。