理想の彼?

2005年3月20日
卑怯だと思ったが、
電話で別れを告げた。
正くんは、
「花音の言っている意味が分からない・・・」
そればかりを繰り返した。

土曜日、突然電話が鳴って、
近くまで来たと、言った。

待ち合わせ場所に行くと、
正くんがいた。
「花音、何があったのか知らないけど、
一緒にやって行こうって決めたじゃないか・・・
俺、何か悪い事したか?
悪いところがあったら、直すし、言ってくれ・・・」
正くんは、私をなだめるように言った。

「正くんに、悪いところなんてないよ。
私が悪いんだ・・・
正くんの、自分に厳しいところ、すごく好きだった。
一生懸命頑張るところ、本当に尊敬してたし、
私も頑張ろうって思っていた。

でもね。みんなが正くんみたいに、
強くて頑張れる人ばかりじゃないんだよ。
私は、正くんが思っているような強い人間じゃない・・・
そんなに、自分に厳しく生きられない。
甘えだろうけど、今までいろんな人に、
弱さを、支えてもらって生きてきた。
そうやって生きてきた私だから、
正くんが一人で頑張るところを見て、
私の存在価値が分からなかったし、
私も甘えられなかった・・・それが苦しい。
好きな人の、一番大好きなところに苦しんでいるの・・・」

正くんに、私の言っている意味は、
理解してもらえないようだった。
「じゃあ、俺はどうしたらいい?
花音、俺に甘えたらいいじゃないか・・・
それじゃダメなのか?」
私は、もう、何も言えなかった。
首を、横に振り続けるだけだった・・・

きっと、正くんとやり直したとしても、
また、同じところで、つまづくだろう・・・
正くんには、弱い人間の痛みは、
理解できないと思った。
それは彼が、
弱さを、ズルさを、許せない人だから・・・
一人で頑張る事で、
自分を奮い立たせてきた人だから、
それを認めてしまったら、
きっと正くんは正くんじゃなくなるだろう・・・

正くんと別れる事に、迷いはなかった。
「今まで、本当にありがとう。
一緒に過ごせて、楽しかった。ごめんね・・・」
それだけ言って、背中を向けた。
正くんは、「分かった・・・」と言って、去っていった。

                     【つづく】
   

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