私は、夏が過ぎ、部活を引退し、
受験生になった。
直とは、一切、話すこともなくなり、
その事が、私の心を救った。
陽とは、相変わらず、
じゃれていたけど、
気持ちを封じ込めるのに、精一杯だった。

ある日、後輩の女の子から、
修学旅行のお土産を手渡された。
『これは、直くんから・・・
花音先輩に渡してくれって・・・』
申し訳なかった。
直の方が、数倍大人だった。
直がいる以上、
陽への想いは私だけの中で、
しまっておこう・・・と、改めて思った。

『花音、お前、高校、どこに行くつもり?』
廊下ですれ違った陽が、突然、聞いた。
『親は、お金かからないから、
高専に行って欲しいんだけどね。
私は、K高校へ行きたいなって・・・
あそこなら、テニスも強いしね。』
『K高校なら、近いしな。
たぶん、俺も、K高校だろうし・・・
頑張れよ。』

きっと、陽も直も、K高校だろう。
私は、もう2人の目の届かない所へ、
行ってしまいたかった。
直に対する負い目は、
直の存在が近くにある限り、消えないだろう。
逃げるんじゃないけど・・・
そんな卑怯な私がいた。

            

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