壇上へ上がり、一礼して、
答辞の紙を開いて読み始めたが、
私は、修正する前の文章を読んでしまった。
気付いて読むのをやめて、一礼し、
『すみません。
もう一度初めから読ませてください!』と、言った。

恥ずかしかったけど、
張り詰めていた会場の空気が、少し緩み、
不思議なほど、緊張感がなくなった。

読み始めると、
いろんな事が思い出された。
辛かったクラブ活動や、先輩からのいじめ、
リレーで一番になった運動会や、
盛り上がった文化祭、
友達がいて、陽がいた。
ただ、それだけで楽しかった。

会場から、啜り泣きが聞こえた。
目を上げると、
ハンカチで目を押さえる卒業生や先生の姿が見えた。
その姿に、胸が詰まってしまった。
途中で、読めなくなって、止まってしまった。

すると、『花音ちゃん、がんばれ〜』と、
在校生が、声をかけてくれた。
ふと顔を上げると、
通路側で陽が、笑っていた。
先生は、私に舞台で泣かせたかったんだな!と思いながら、
何とか、最後まで読み終えた。

席に戻ると、クラスの友達が、
みんな泣き笑いして、よかったよ!と声をかけてくれた。
終わった安心感で、涙が止まらなかった。

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