私は、ひろといる時から、
ずっと、ひろに隠していた事があった。

付き合って、2年近く経った秋のこと。
ひろの部屋で見つけた手紙の事。
地元の女の子からの、かわいらしい文字。
まるで付き合っているかのような、
手紙の内容だった。

誰にも言えなくて、思い悩んで、
何度、yasuの部屋に行っただろう。    
yasuなら、何か知っているかもしれない。
yasuなら、間違いだって言ってくれるかもしれない。
だけど、私とひろの間に入って、
yasuを苦しめるのが分かるから、結局何も言えなかった。

その事を、ひろに言った。
ひろは、絶句した。

『じゃあ、その手紙を見なかったら、
 花音は、俺と別れなかったって事?
 そっかぁ~ お前、そんな事を抱えながら俺といたのか・・・
 悪かったなぁ~でも、俺、その女とは何もないし、
 もちろん、他の誰とも、浮気してなかったんだぞ!』

もう、何もかも通り過ぎた事・・・
その言葉も、20年前の私の心には、届かなかっただろう。
今なら、素直に聞ける私がいる。

『言わなかった私が悪いんだよね。
 でも、言えなかった。全てを壊しそうで・・・
 真実を確かめるのも怖くて・・・
 結局、ひろから逃げて、バカな事ばかりして、
 そうする事でしか、自分を支えられなかったんだと思う。

 本当に、辛かったし、悲しかった。
 裏切られる悲しみも、誰にも言えない苦しみも、
 自分で解決出来ない辛さも、味わったよ。
 でも、その想いがあったからこそ、
 私は、いろんな人の優しさを知る事が出来たし、
 yasuの思いやりも、KくんやAくんの優しさも、
 ありがたいと思える自分がいたんだ・・・』

恨んでなんかいない。もう、何もかも時効・・・
これが、私の本音。
ひろは、ただ、しきりに謝っていた。
          
           
        
 


           
          

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